天高く馬肥ゆる秋
「天高く馬肥ゆる秋」という秋のことわざがあります。このことわざの「天高く」とは、空気がすんで高く晴れわたる秋の空を表しています。また、暑い夏のあと、涼しく快適な秋になると夏に消耗した体は元気を取り戻し、食欲もわいてきます。「馬肥ゆる」とは、まさに食欲の秋、馬も人間と同じで、よく草を食べて肥えていく、という意味です。このように、このことわざは、秋はさわやかで気持ちのよい季節であるということをたとえたものです。しかし、このことわざはもともとは、さわやかな秋を表す言葉ではなく別のことを意味していました。昔中国では、秋になると、北方の騎馬民族が元気になった馬に乗って秋の収穫物を略奪にやってくることが多かったようです。そのため、当時、このことわざには襲来する騎馬民族に対して防備すべき季節がやってきたという意味があったのです。