北日本は冷夏の影響を受けることが多く、昔からその被害に苦しんできました。北日本の冷夏は大きく2種類に分けられます。そのひとつが「北冷西暑(ほくれいせいしょ)型冷夏」と呼ばれるものです。
この場合、低気圧や前線が北日本を頻繁に通り、また上空には北からの寒気が流れ込みやすくなっているため、西日本では暑くて夏らしい天候になるのに、北日本一帯では気温が低く冷夏になるのです。高緯度ほど低温になりやすく、太平洋側でも日本海側でも同じように起こります。
ただし、気温は低くても日照はある程度確保されるので、作物への被害はさほど極端なものにはなりません。低温の状態が続くのは数日くらいで、長くても10日前後のことが多くなります。
そしてもうひとつは「やませ型冷夏」と呼ばれるものです。この場合、オホーツク海方面に高気圧が居座り、高気圧から吹き出す「やませ」と呼ばれる冷たい北東の風の影響で、東北の太平洋側を中心に冷夏となります。
やませが吹きやすいのは稲の成長期から開花期にあたる5月中旬から7月中旬にかけてであるため、農作物への影響が大きくなります。また、やませは一般に5日前後吹き続けることが多く、時には20日以上に及ぶこともあるので、昔から農民にはとても恐れられていたのです。
お天気豆知識(2026年05月29日(金))


やませとは、北海道や東北、関東地方などで吹く冷たく湿った風のことで、昔からたびたび農作物に大打撃を与え、農民から恐れられてきました。そのため、冷害風や餓死風などとも呼ばれていました。
やませはオホーツク海高気圧から吹き出し、北日本の太平洋沿岸に北東からの冷たく湿った空気を運びます。その経路では沖合の海面から供給される熱や水蒸気によって霧や低い雲がつくられます。陸地からは、濃い霧や低い雲が暗く巨大な壁となって押し寄せてくるように見えるため、昔の人は「冷害は海からやってくる」といっていました。
やませが吹くと気温が低くなるだけでなく、低い雲や霧に覆われて太陽からの日ざしが遮られてしまうため、冷害と日照不足で農作物に大きな影響がでるのです。
また、やませに伴う雲や霧の高さは低いのが特徴で、標高1000メートル以上の山脈を越えることはほとんどありません。
そのため、やませが発達しても日本海側ではやませの影響を受けることはあまりなく、その被害を受けるのは東北地方の太平洋側の地域が中心となるのです。

