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お天気豆知識(2024年10月02日(水))

気象潮と天文潮
気象潮と天文潮

台風の被害の中で恐ろしいもののひとつに、高潮があります。特に、南に開けた湾の西側を台風の中心が通って北上した場合には、海水がどっと陸に押し寄せて甚大な被害をもたらすことがあるのです。
高潮の最高潮位は、東京湾やその地域の主要な港での平均潮位を基準とした高さで発表され、これは「海水面が標高何メートルの高さになるか」をあらわしたものといえます。
その海水面の高さは、天文潮(てんもんちょう)と気象潮(きしょうちょう)によって決まります。
天文潮とは、月や太陽の引力による潮の満ち干きの現象のことで、気象潮とは、風や気圧などの気象条件による海面の昇降のことをいいます。つまり気象潮は、天文潮のように、あらかじめ決まった周期変化をするものではないのです。
ふだんの潮位は天文潮によって大勢が決まっていて、これは潮位表や潮汐情報として発表されています。この規則的な変化は台風や発達した低気圧がやってくると、乱れてしまいます。場合によっては天文潮のうえに気象潮が積み重なることで、高い潮位となってしまうのです。

吸い上げ効果
吸い上げ効果

気象潮は、低い気圧による「吸い上げ効果」や風による「吹き寄せ効果」によって発生します。
吸い上げ効果とは、台風などが接近して気圧が低下することで海面が持ち上げられる現象です。気圧が1ヘクトパスカルさがると海面がおよそ1センチメートル高くなるといわれています。
例えば、それまでの気圧が1000ヘクトパスカルの場所へ950ヘクトパスカルの気圧の台風がくると、海面はおよそ50センチ高くなります。
また、吹き寄せ効果は、台風などの強い風が海岸に向かって吹く場合に、海水が海岸に吹き寄せられることで海面が上昇する現象です。海面の高さは、風速の2乗に比例して高くなるので、風速が2倍になると、海面の高さは4倍になります。
また、潮位は地形の影響も受けています。海底の浅いところほど潮位は高く、直線的な海岸より湾の方が、海水が集中して海面をよりいっそう高くします。
その典型といえるのが東京湾や伊勢湾、大阪湾、有明海などです。天文潮による満潮時間に、気圧の低い発達した台風が接近し、強い風が湾の奥に向かって吹くほど、災害につながる可能性の大きい高潮が発生しやすくなるのです。

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お天気豆知識

お屠蘇(おとそ)

お屠蘇(おとそ)

お屠蘇とは漢方薬の一種である「屠蘇散(とそさん)」を酒やみりんに浸したもので、屠蘇散はサンショウ、ボウフウ、ビャクジュツ、キキョウなど数種の薬草が調合されています。また、酒やみりんにはぶどう糖、必須アミノ酸、ビタミン類が含まれて、アルコールには血行を促進させる働きがあります。お屠蘇には胃腸の働きを盛んにし、風邪を予防するための効果があるので、寒さが厳しく、お酒の量も多くなる年始の時期にお屠蘇を頂くことはまさに先人の知恵と言えるでしょう。正月にお屠蘇を飲む風習は、平安時代に中国から日本に伝わり、嵯峨(さが)天皇の時代に宮中の正月行事として始められたあと江戸時代に一般市民へと広まりました。お屠蘇の「屠」は「邪気を払う」、「蘇」は「魂を目覚め蘇らせる」という意味があるといわれています。年のはじめにお屠蘇を飲むという風習には、無病息災を祈り、心身ともに改まろうという願いが込められているのです。

凍上(とうじょう)

凍上(とうじょう)

冬になると北日本の太平洋側などのように厳しい寒さが続く地域では、大地が凍ることがあります。凍った土は凍土といい、スコップの先も跳ね返すほど固くなります。また、地面の凍結に伴い地面付近が盛り上がってくる現象を「凍上(とうじょう)」といいます。凍上が起こると、道路、線路などの地上施設だけではなく、水道管、ガス管、通信ケーブルのような地下の埋設物に被害が生じることがあります。凍上が起きた地面を掘り起こしてみると、地面と並行に氷の層が形成されていることがわかります。この氷の層はレンズ状の形をしていることからアイスレンズと呼ばれていて、地面を持ち上げる原因になっています。ときには家などの建物を持ち上げることさえあるのです。凍上によって大地が押し上げられる力は1平方センチあたり1キログラムから2キログラムになります。1平方メートルに換算すると、なんと10トンから20トンもの力になります。北の大地は雪だけではなく、大地の凍上にも悩まされることがあるのです。

氷のスポーツ・スケート

氷のスポーツ・スケート

氷や雪の上が滑ることを利用して、スケートやスキー、スノーボードなどが身近なウィンタースポーツとして楽しまれています。氷や雪の上では、なぜあのようによく滑るのでしょうか。氷は見ても触ってもわかりますが、表面はつるつるしており、氷の摩擦が小さいということが理由としてあげられます。また、スケート靴で氷の上にのると、体重がスケートの刃にかかり、その圧力のために氷が融けます。この時に、固体である氷の部分と圧力で融けた水の部分との間に薄い膜ができ、この膜が潤滑油のような働きをするために、さらに摩擦が小さくなって、一層滑りやすくなるわけです。スケートは、この原理をうまく利用しており、瞬時にして氷と靴との間に薄い膜ができるため、スムーズに滑走することができるのです。