これから暖かくなるにつれて、晴れた日には「わたぐも」を見かけることが多くなるでしょう。
わたぐもはふわふわと空に浮かぶ雲で、その輝くような白さは青い空を背景に際立って見えます。俳人として有名な正岡子規も、「春雲はわたのごとく、・・・」と詠んで、春の雲としてわたぐもを挙げています。
わたぐもは、空気が上昇していくことで水蒸気が冷えて小さな水の粒となった雲です。そのため、地表付近の空気が温められて上昇しやすい日差しの強い日によく現れるのです。
晴れの空に浮かぶわたぐもを注意深く観察していると、執にわたぐもが生まれていく一方で、すぐに消えていることに気づきます。中には、白いもやのような雲ができてからむくむくと発達し、消えるまでの時間が10分程度という大変はかないものもあります。
地上から見ると、雲はゆっくりと流れ、空の表情は短時間では変わらないものと思いがちですが、わたぐもを見れば空の景色が目まぐるしく変化していることに気づかされるでしょう。
お天気豆知識(2026年04月21日(火))


わたぐもは誕生してから消滅するまでにかかる時間が比較的短い雲です。そしてわたぐもをよく観察すれば、もうすぐ消えてしまうのか、成長を続けていくのか、およそ見当をつけることができます。
成長しているわたぐもは、その輪郭がくっきりとしていて雲の底が平らになっていることが特徴です。また雲をつくっている水滴が密集しているため、日射の当たっているところは白く輝き、雲の底は日ざしが遮られて黒ずんで見えます。
わたぐもがこのように見えるとき、そこには強い上昇気流があって、雲はわき上がるように成長を続け、その形はめまぐるしく変化します。
一方、輪郭がぼんやりとしていて底がでこぼこしている雲は、徐々に消えていく傾向にある衰弱期のわたぐもです。
輪郭がぼんやりとしているのは、上へ向かう気流がなく、雲を構成する水滴が蒸発を始めているためです。そして底がでこぼこしているのは、下向きの気流が発生して雲の生成と逆の過程が起こって底の方からも徐々に消えていることを意味しています。
春の空に浮かぶわたぐもが、成長を続けていく元気な雲なのか、それとも衰え消え去ってしまう雲なのか、ひなたぼっこをしながら空を見上げて、予想してみるのもおもしろいかもしれませんね。

