毎年冬になると、大雪や強風によって高速道路が閉鎖になるなど、交通機関へ影響が出ることがあります。北日本の場合、この原因の一つに地吹雪(じふぶき)があります。
地吹雪とは、いったん降り積もった雪が強い風のために地上に吹き上げられる現象のことです。地吹雪が起こると目の前が白一色の世界となり、視界が悪くなり、時にはすぐ目の前にある自動車さえ見えなくなるため大きな交通障害を引き起こします。
この時期、日本の上空に強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まると、全国的に季節風も強まります。季節風は、関東地方など太平洋側では山越えの乾燥した空っ風となって吹き下ろしますが、積雪の多い地域では地吹雪を引き起こす原因となるのです。
地吹雪は、強い風が吹き、さらさらの軽い粉雪が降って間もないときが一番起こりやすくなります。また発生しやすい場所は田畑など平らで広い雪面のある所です。
逆に気温が比較的高く、湿った雪が降る場合は、雪粒同士がくっつきやすく重いので、地吹雪は発生しにくいのです。
お天気豆知識(2025年12月25日(木))


地吹雪が発生しやすい地域では、地吹雪から交通の安全を確保するための取り組みが行われています。
地吹雪による視界不良を防ぐ有効な手段の一つに「吹き払い柵(ふきはらいさく)」があります。吹き払い柵は、道路の風上側にあたる路肩付近に設置され、隙間から吹き抜ける風を利用して、道路の雪を吹き払うものです。
道路の表面付近に風の通り道が集中するように、複数の防雪板を斜めに隙間を設けて取り付け、柵の下部を吹き抜ける風をより強くする仕組みがなされています。
こうすることでドライバーの視界に舞う雪の量を減らし、また道路に雪の吹きだまりをできにくくします。
つまり、吹き払い柵は車からの視界をよくすることと、道路上の積雪量を少なくするという2つの利点があり、雪国のドライバーの安全を確保する重要な役割を果たしているのです。

