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お天気豆知識(2025年03月25日(火))

遅霜
遅霜

これから4月初めにかけて茶畑の多くで新芽が現れ始めます。
新芽はやがてその年最初に摘まれる「一番茶」となるもので、これを蒸したり乾燥して製茶したものが新茶として5月中旬くらいから市場に出回るようになります。
しかし、この時期はまだ霜の心配が続く季節でもあります。1979(昭和54)年4月18日、お茶の名産地である静岡県で大規模な霜による被害が発生し、県内の栽培面積のおよそ7割が影響を受け、被害額は100億円にのぼりました。
さらにその後も大規模な遅霜による被害は、同じ時期に多く発生したのです。最近では2013(平成25)年の4月12日にも発生しています。
一番茶は若々しい香りとうまみ成分に富んだ茶葉であり、それゆえ高級茶葉であり、農家にとって年収の多くを占めるとても重要なものです。それだけにこのころの霜は、お茶を栽培する農家にとってたいへんな脅威なのです。

霜がおりやすい気圧配置
霜がおりやすい気圧配置

茶は本来亜熱帯の植物なので、低温が続けば葉の細胞が壊されて枯れてしまいます。霜による被害が発生することが多いのは、お茶の新芽が出るころはマイナス3度、その芽を包んでいた葉が開いたあとではマイナス2度程といわれています。
この時期の霜は主に放射冷却現象によって引き起こされます。放射冷却現象とは地面の熱が空へ逃げていくために地面付近が低温になる現象で、湿度が低くて風が弱く、雲のない夜間に顕著に現れるものです。
天気図では日本の広い範囲が大陸から南下してきた高気圧に覆われた場合に、特別な注意が必要といえます。
なぜなら、高気圧が日本を広く覆う場合には風が弱く晴天に恵まれやすくなり、特に南下してくる高気圧は北の冷たく乾いた空気を運んでくるため、強い冷え込みを引き起こしやすいのです。
最近は多くの茶畑に電柱の上に取り付けられた「防霜ファン」とよばれる扇風機があり、地面近くの冷たい空気と高いところの比較的暖かい空気とを混ぜることで、冷え込みを抑えることに役立っています。
しかし、これで霜による被害がゼロになるというわけではありません。気象庁から発表される「霜注意報」や、天気図などを参考にして事前に対策を打つことが必要なのです。

過去のお天気豆知識

夏の雲から秋の雲へ2025年09月17日(水)
竜巻2025年09月16日(火)
ひょうたん2025年09月15日(月)
煎茶・玉露2025年09月14日(日)
秋霖(しゅうりん)2025年09月13日(土)
秋霖(しゅうりん)2025年09月13日(土)

各地の天気

お天気豆知識

夏の雲から秋の雲へ

夏の雲から秋の雲へ

9月に入って、まだまだ残暑が厳しい日もありますが、辺りの虫や草木、空気などからは秋を感じることができます。また、「天高く馬肥ゆ(てんたかくうまこゆ)」と言うように、高く澄みわたっている空も秋を感じさせます。秋の空が高く感じられるのは、秋の雲の現れる位置が高いことがひとつの理由です。入道雲やわた雲といった夏に多く現れる雲は、強い日差しによって地面付近の空気が暖められて発生する雲です。このような雲は、上下の空気の流れで発生するため、地上から数百メートルくらいの高さでも出現します。一方、秋になると、いわし雲やひつじ雲といった高い所に現れる雲が多くなります。いわし雲はおよそ5000メートルから1万メートル、ひつじ雲でも2000メートルから7000メートルといった高度に出現します。夏と秋の雲の出現する高さの違いは、湿度の違いによるものです。湿度の高い夏は低い所でも雲ができますが、湿度が低くなる秋は、低い所では雲を作るほどの水蒸気がないため、雲は高いところにできることになります。湿度の低い秋の空気は空を高くして、秋をいっそう爽やかに感じさせてくれているのですね。

竜巻

竜巻

あまり馴染みがないように感じますが、竜巻は、日本国内で毎年発生していて、9月は発生が多い時期に当たります。竜巻は激しい気象現象のひとつで、局地的に発生します。竜巻はつむじ風などと違い、上空の雲から垂れ下がるろうと状の雲をともなっていることが特徴で、前線の通過や台風の接近に伴って発生することが多いといわれています。竜巻の大きさはさまざまで、小さいものは直径10メートル程度ですが、多くは100メートルから600メートルの直径を持っています。また、被害状況から風速100メートルを超えていると推定されるものまであり、その風は台風以上に強く、破壊力は気象現象の中で最大級といわれています。過去の調査結果によれば、竜巻の発生は9月が最も多く、8月から10月までの3ヶ月で、1年の半数近くの数が発生するといわれています。これは、竜巻が台風の影響を受けて発生しやすいことをあらわしています。そのため、台風が接近、上陸したときは、竜巻に対しても注意が必要になってくるのです。竜巻が発生する危険性があると、気象庁から竜巻注意情報が発表されます。自分の地域が対象になった場合、積乱雲が近づく兆しがあったら頑丈な建物に移動するなど安全を確保するようにして下さいね。

ひょうたん

ひょうたん

秋風が吹くようになると、多くの植物が実りの時期を迎えますが、そんな植物の一つにひょうたんがあります。ひょうたんはウリ科の一年草で、ユウガオの変種です。そのため、花は夕方に咲き、翌朝にしぼみます。果実は苦みが強いため食用には向きませんが、1週間から2週間ほど水につけて中身を腐らせ、取り除き、乾燥させると、容器として利用することができます。ひょうたんの多くは中央部分がくびれた独特の形をしているため、縦に切れば水くみに便利なひしゃくになり、横に切ればおわんになります。そのため、土器しかなかった縄文時代には、ひょうたんは無くてはならない生活用品だったのです。