冬、雪国では、降り積もった雪によって移動が思うようにはいかなくなります。雪の中に深く足が沈んでしまうと、雪の重みが負担となって、一歩一歩がつらく、どんどん体力が奪われてしまうのです。
そんな雪の上でもスムーズに移動や運搬ができるようにと昔の人が考案したのが、かんじきやそりです。
かんじきは、体重が広い範囲にかかるようにすることで雪に沈みにくくする、足にはめる大きな枠のようなものです。特に、雪の上で使うものは輪になっているため、わかんじきと呼ばれています。これを使うことで、雪に埋まらず表面をすたすたと移動することができるようになります。
また、そりは車と比べて接地面積が広いため、かんじき同様雪への沈み込みを緩和し、さらにそりと雪との接する部分で、雪がそりの重みで溶かされ、雪上での滑りがよい乗り物です。北極圏周辺の地域では、昔から馬や犬、トナカイなどに引かせることで、人間の移動目的だけでなく、荷物の運搬にも利用されてきました。
現代の日本でも、そりは雪国の生活の中で運搬用に何かと重宝されています。雪国の人々は、昔から雪とうまく付き合うために知恵を絞ってきたのですね。
お天気豆知識(2025年12月17日(水))


昔の人の知恵は、現代の冬のスポーツに見ることができます。
たとえば、スキーやスノーボードです。足に装着して雪との接地面積を広くすることで、雪の上をスムーズに移動するという特徴は、かんじきに共通するものです。そのため、スキーやスノーボードは、かんじきから進化したものだと考えられています。
また、そりとよく似たものにはボブスレーやリュージュといったものがあります。これらは、スピードを競うスポーツであるため雪より抵抗の少ない氷の上を走ります。空気抵抗なども考慮されているため、形は昔のそりとはまるで違うものになっています。
いまでは、スキーにも様々な種類があり、スピードを競う滑降や、アクロバティックな技を競うエアリアルなど多彩に進化しています。そりも同様に、ボブスレーやリュージュなどとなって、最高速度が時速120キロメートル以上という高速の乗り物へ進化しました。
ほんの少しの移動も大変だった雪の世界が、今では高速に、しかも自由に動きまわることができるようになっているのですね。


