まだまだ暑い日が続いています。暑い時には冷たいものが欲しくなりますが、気温が30度を超えるとアイスクリームよりもかき氷といった氷菓が好まれるようになります。今では冷蔵庫が普及し、真夏でも冷たい食べ物や氷を簡単に手に入れることができます。しかし、冷蔵庫がなかった時代には簡単に氷を手に入れることなどできなかったのです。
その昔、冬に自然の中で凍った氷を切り出して、氷室(ひむろ)と呼ばれる貯蔵庫に保存していました。そして、氷が欲しくなる夏に取り出してのどを潤していたのです。
清少納言の「枕草子」にはすでに、かき氷の元祖ともいえそうな蜜をかけた削り氷を銀の器にいれて食べていた様子が書かれています。また紫式部の「源氏物語」にも氷室から取り出した氷で涼をとっている様子が描かれており、氷室は平安時代にはすでに重要なものでした。
氷室は冬の氷を蓄えておく天然のクーラーボックスともいえるでしょう。ただ、大量生産はほとんどできず、また輸送するのも大変だったため、昔は天皇への献上物であったり、上流階級に限ったものでした。
江戸時代になると、庶民にも売られるようになりましたが、めったにお目にかかることのできない高級品であったことにはかわりありません。
なお、現在でも埼玉県の長瀞(ながとろ)など一部では天然の氷がつくられ、氷室を使って氷の保存を行っている所があります。
お天気豆知識(2025年08月15日(金))


氷は、夏のそうめんなど料理に使ったり、飲み物を冷たく冷やすときなど家庭では欠かせないものですね。現在では、家庭の冷蔵庫で、簡単に氷が作れるようになっています。せっかくですから、おいしい氷を作ってみましょう。
その際に、わざわざミネラルウォーターを用意する必要はありません。水道水でも十分おいしい氷が作れるのです。水道水がおいしくないと感じるのはカルキ(塩素)の臭いのためです。これは一度沸騰させてしまえばとれるので、冷ませば飲み水としても、氷としても使え、おいしく頂くことができます。
では、透明な氷を作ってみたいならば、どうしたらいいのでしょうか。水の中に空気や不純物があると、氷は白くなってしまうので、空気が逃げ出せるように冷やす時にはゆっくりと時間をかけるといいのです。冷凍室の温度設定をあまり低くせずに、じっくりと冷やしてみてください。
そのとき、冷却している水をときどきかき混ぜてあげることがコツです。最近では急速に氷ができる冷蔵庫が増えていますが、この場合、水の中の空気が逃げ出す前に凍り付いてしまうので白っぽい氷になりやすいのです。
透明な氷を作るには時間と手間がかかりますが、それだけにおいしさも格別です。また、透明な氷は不純物が少ないために、溶けにくいという長所もついてきます。機会があれば、ぜひ試してみてください。