鶴の渡り
季節が秋から冬に変わり始める頃、国境を越えて日本にやってくる鳥たちがいます。季節によって移動する鳥の中でも、越冬地と繁殖地が異なり、毎年定まった季節に移動を繰り返す鳥を「渡り鳥」と呼んでいます。日本で秋や冬に見られる渡り鳥は、ツルやハクチョウ、ガンといった「冬鳥」と呼ばれる鳥たちです。日本でのツルの越冬地は、主に鹿児島県の出水市(いずみし)と山口県の周南市(しゅうなんし)です。日本に飛来するツルの第一陣は10月の上旬にやってきます。この少し前から、シベリア大陸のバイカル湖の南では、冷たい空気を持った高気圧が頻繁に発生します。この高気圧は南東に移動して日本付近に張り出し、北西の冷たい空気を吹き出し季節風となります。ツルはこの季節風に乗って日本へと飛来をするのです。凍りついた大地となっていたシベリアも、夏になると広大な湿原地帯が広がり、子育てに最適な場所になります。日本で冬を越したツルは、春には再びシベリアへと旅立っていくのです。