電線着雪
本格的な冬をむかえ、雪国では除雪作業に精を出されている方も多いことでしょう。特に北陸地方などの除雪作業は、雪が湿っていて重たいため一苦労です。湿った重たい雪は、除雪作業をつらくするだけでなく、物にくっついて「着雪害(ちゃくせつがい)」とよばれる被害を引き起こすこともあるのです。その代表的なものに電線着雪があります。これは電線を芯にして雪がぐるりと覆ってしまうもので、雪がたくさん付着すると、雪の重みで電線が切れたり、鉄塔が倒れたりするほか、重くのしかかった雪が電線から落ちたときに電線が跳ね上がり、他の電線と絡むなどといったこともあります。普通、雪は上から降ってくるのに、電線の下側にまで雪がぐるりと付着してしまうというのはなんとも不思議です。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。雪が降るとまず電線の上に雪が積もります。そして十分な重さの雪がバランスを崩したとき、がっしりと付着した雪は電線をねじって下側に回り込むのです。また電線がビニールに覆われている場合には、湿った雪が滑るようにして下側へ回転します。電線の上に雪が降り積もっては回転して下に回り込む、という過程が繰り返されることによって、電線の上下左右に雪が付着した「雪の筒」ができあがるのです。