冬は寒くて嫌いだという方は多いのかもしれませんが、昔は冬の寒さに趣を感じていた女性もいました。
枕草子(まくらのそうし)の作者として有名な清少納言(せいしょうなごん)です。「春はあけぼの」で始まるこの随筆を皆さんも一度は読んだことがあるのではないでしょうか。清少納言はその中で「冬はつとめて」、つまり冬は早朝がいいといっています。
本文では、「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。」と書かれています。
清少納言は、雪が降ったり霜がおりたりする厳しい寒さに冬らしい趣を感じ、さらにそんな寒い朝には、当時の人たちの炭火を急いでおこして運ぶ風景にも趣を見いだしていたようです。
暦は小寒(しょうかん)を迎えて寒の内となり、柔道や剣道、弓道、空手といった武道においては寒中稽古がはじまります。皆さんも寒さに強い体になれば、寒さの中に趣を感じる余裕ができるのかもしれませんね。
お天気豆知識(2026年01月12日(月))


枕草子の中で「春はあけぼの」とありますが、他にも古文にはいろいろな時間の表現があります。
例えば、夜中を過ぎてまだ暗いうちの夜明けを曉(あかつき)といい、その後、次第に物が見分けられるようになるころを曙(あけぼの)といいます。
曙の類義語に、朝ぼらけ(あさぼらけ)と東雲(しののめ)がありますが、朝ぼらけは、朝がほんのりと明けてくるころを示し、曙よりも遅い時間帯に用いられます。
東雲も同じような意味合いで、東の空がわずかに明るくなるころを示しますが、歌語(かご)といって、主に和歌を詠む時にのみ使われます。そして、空が明るくなり明け方の遅い時間帯、早朝を「つとめて」と表現するのです。
ちなみに、薄暗く彼が誰だか分からないという意味を持つ、「彼(か)は誰(たれ)時」(かわたれどき)は、明け方または夕方の薄暗い時刻のことを示し、後に夕方の「誰(た)そ彼(がれ)時」(たそがれどき)に対して明け方に「かわたれどき」と表現するようになったようです。

