「わさび」という言葉を知らない人はいないのに、その本来の姿をじっくりと見たことのある人はあまりいないのではないでしょうか。
わさびは、日本原産のアブラナ科に属する多年生植物で、全国各地の冷涼な山の谷間の渓流沿いに自生しています。栽培されるようになったのは江戸時代からで、今の静岡市に位置する安倍川上流が発祥の地です。
白く小さな十字花が春に咲き、その愛らしい姿からは、わさびのツーンとくる辛味などとても想像できません。また、わさびの葉は先がややとがったハート形で「葉わさび」として食されます。その形が徳川家の葵(あおい)の家紋に似ていることから、山の葵とかいて「山葵(わさび)」と読むようになったと言われています。
さて、私たちが日常的に使う「わさび」は、根茎(こんけい)と呼ばれる部分です。そのほか花や茎もわさび漬けなどに加工され、すべての部分が活用できる無駄のない植物なのです。
わさびはきめ細かくすりおろすほど辛みが増します。これは辛味成分が、細胞の破壊によって生成されるためです。「わさびは笑いながらすれ」といわれますが、力を入れないようにして細かくすった方が、わさびの辛みが増すことを伝えたものなのです。+
お天気豆知識(2026年04月10日(金))


わさびの辛みには大きく2つの効果があります。一つは、魚の生臭さを消し食欲を増進させる効果、もう一つは食中毒を起こすような原因菌の繁殖を抑制する効果です。
このため、寿司や刺身などの生食にはわさびが欠かせないのです。特に、塩や酢と併用するとわさびの効果は高まることから、酢飯と醤油を使う寿司は、わさびの力を最大限に活かした理想的な料理といえるでしょう。
ただ、わさびの辛みはおろしてから10分もすると効果が激減してしまいます。わさびの効能を最大限に利用するためにも、食べる直前に用意しましょう。
また、わさびの辛み成分には、カビの繁殖を抑える防カビ作用や防臭効果もあり、抗菌・防カビ製品などが開発されています。これは、わさびの辛味成分をシートもしくはラベル状に加工したもので、弁当、惣菜、パンなどの品質維持に広く利用されています。
また、お正月のお餅のカビ防止にも効果があるほか、カットしたキャベツの変色、変質防止にも効力を発揮するようです。

