最近は暖かくなってきましたが、冬の間にたくさんの雪が積もった地方では、暖かいといってもすぐに雪が消えてくれるわけではありません。そして雪深い地方では、この雪どけの遅れがその年の作物の生育に大きく影響するのです。
例えば、秋に種をまく種類の小麦は春先の雪どけが早ければ早いほど、穂の数は多くなるといわれています。小麦の産地である北海道では、雪どけと同時に農作物が光合成を始められるように、秋に種をまいて芽の出た状態にし、根雪の下で越冬させています。
しかし雪どけの時期が遅れると、生育するために必要な光合成の開始も遅れ、春先の生育不良が原因となって、品質が低下したり実る穂の数が減ってしまうのです。これは、春に種をまいて秋に収穫する「夏作物」とよばれる農作物に対しても、同じような影響を与えます。
雪どけが遅いと種をまくのも遅くなり、生育期間が不足して結果的に収穫量は減ってしまうのです。
雪国の農家にとって、雪どけの時期は生活に関わる大きな問題なのです。
お天気豆知識(2026年03月05日(木))


遅い雪どけは農作物の収穫量を減らすことがあるため、雪国では、田畑の雪を早くとかすための努力がなされています。その一つに融雪剤の散布があります。
融雪剤として利用されるものは主に黒い色の粉末です。黒い物質は太陽からの熱をよく吸収するため、雪を温めとかす効果があるのです。
ちなみに融雪剤を利用することで、雪どけを7日から10日ほども早めることができるといわれています。
また、融雪を早める方法には、雪面に「うね」をつくることもあります。雪面にうねを作っておくと雪が空気に触れる面積が広くなります。そのため気温が0度以上になったときには、田畑を覆う雪が暖かい空気からの熱をより多く受け取ることができ、雪どけが早くなるのです。
そして融雪剤の散布にこのうねづくりを併用すれば、倍近い効果も期待できるといわれています。
暖かくなっても雪がたくさん残る地方では、農家の人たちの努力によって、田畑へ一足早く春がやってくるのですね。

