春の日に見られる、まか不思議な現象に蜃気楼(しんきろう)があります。
これは遠くの方に突如として町並みなどが現れるもので、限られた時間帯や場所でしか見ることができません。蜃気楼とはいったいどうやってできるのでしょうか。
一口に蜃気楼といってもいくつかの種類に分けられます。ひとつは、実際の像が逆さになって、下に写る様に見えるものがあります。
このタイプには、夏の日中に見られる「逃げ水」があります。遠くの路面に水たまりがあるように見えたり、歩いている人が水たまりに写っているように見えます。また、砂漠で遠くにまるで湖が広がっている錯覚を起こさせる現象もこのタイプです。
もうひとつのタイプは、実物よりも物体が上にのびて見える場合です。このタイプのものにも、見え方はいろいろあり、実像がそのまま浮かび上がって見える浮島現象(うきしまげんしょう)や、実像の上に実物を倒立させた像が重なって見える場合などがあります。
このタイプの蜃気楼は、見られる場所や発生する割合が少ないのですが、国内では富山湾岸の魚津(うおづ)がこの現象が見られることで有名です。富山湾では春に限って、このめずらしい現象が見られるのです。
お天気豆知識(2026年03月30日(月))


同じ蜃気楼といっても、逆さに見えたり、のびて見えたりと見え方に違いがあるのはなぜでしょう。
蜃気楼は、通常、まっすぐに進む光が、密度の異なる空気の層を通過する際に進路が曲げられる(屈折する)という性質により発生します。空気の密度というのは、主に気温によって変化しますので、言い換えると、空気の層に大きな温度の差があると発生するのです。
まず、逃げ水や浮島現象といった通常と上下が逆さに見える場合は、空気の下の方の層が暖められた時や冬期などに冷たい空気が相対的に暖かい海面上に流れ込んだ時です。
つまり、上が冷たく下が暖かい「上冷下暖」の状態の空気の層ができると、光は下に凸のカーブを描いて進む性質があります。そのため、それを見た人は、実物の像のほかに、それより下にも物体があるように見えるのです。
一方、春先の富山湾で起こるようなのびて見えるタイプのものは、冷たい海面に暖かい空気が流れ込んだ時に発生します。
つまり空気の層が「上暖下冷」の状態になっていると、光はさきほどとは反対に上に凸のカーブを描いて、見ている人の目に到達します。このため、実物よりも上に伸び上がったように見えるのです。

