地球上には私たちが決して作り出すことのできない美しい自然現象が存在します。北極や南極に近い高緯度地方で見られるオーロラもその一つと言えるでしょう。この夜空を乱舞する光のカーテン、オーロラの正体はいったい何でしょうか。
これを理解するには、地球が作る「磁場」について知る必要があります。地球は巨大な磁石であり、地球の周りには磁石の働く「磁場」という領域が存在しています。
磁場は地球を取り囲むように広がっています。太陽風と呼ばれる太陽から吹く電気を帯びた粒子の流れによって大きく変形し、太陽とは逆方向の地球の夜側に延びて広がっています。この電気を帯びた粒子が地球に侵入し、大気と衝突することで光を発するのです。
しかし地球は磁場によって守られているため、この粒子は、北極や南極の磁場のすき間からわずかに入り込むか、太陽と反対側の地球から十分に離れた磁場の弱い所から突入するしかありません。北極や南極の磁場のすき間から粒子が入って来る場合は、太陽の光が当たるため、オーロラの光を確認することはできません。
夜空に輝くオーロラを作り出すのは、太陽を出発した粒子が地球の夜側へ回り込み、地球の磁場に取り込まれて北極や南極付近に流されてくる粒子なのです。
お天気豆知識(2025年12月28日(日))


オーロラは、太陽からやって来る電気を帯びた粒子が地球の大気と衝突した際に光を放つ現象のことで、上空100キロメートルから500キロメートル付近で発生します。
北半球でオーロラが最も頻繁に現れるのは北極ではなく、カナダやロシア、そして北ヨーロッパなどの北極よりやや緯度の低い地域です。これらの地域は帯のように取り巻いているので、「オーロラ帯」と呼ばれていますが、北極がその中心というわけではありません。
地球の磁場の軸が北極から約11度アメリカ側に傾いているため、北海道とほとんど緯度がかわらないニューヨークでは、オーロラが1年に10日も出現すると言われているのです。一方、北海道でも観測されることがありますが、ニューヨークのように毎年ではありません。
このオーロラは、「低緯度オーロラ」と呼ばれるもので、「磁気嵐」と呼ばれる地球の磁気が大きく変化するときに出現するものです。高緯度地方で見られる緑や青のオーロラとは違い赤色のオーロラで、昔から北の大地ではこのオーロラの出現が報告されており、現代でも山火事と間違えて消防車が出動した話があるほど北の空を赤く染めることもあるようです。

