七色の光の輪を背負った大きな人影が現れることがあります。これはブロッケン現象といわれるもので、その正体は自分自身の影です。
「ブロッケン現象」は、ドイツのブロッケン山(標高1142メートル)でよく現れたことから、名付けられました。このブロッケン山は昔から魔女や妖怪が集まる山として知られていました。そのため、ヨーロッパの人々は、この影を「ブロッケンの妖怪(ようかい)」と呼んで恐れたのです。
一方、日本では、山は仏の住むところとされていたので、雲の中に現れる光を背負った影は、阿弥陀如来(あみだにょらい)の姿だと考えられていました。そのため、日本ではブロッケン現象のことを「御来迎(ごらいごう)」や「仏の御光」とも呼んでいたのです。
ちなみに、「御来迎」と似た言葉に「御来光(ごらいこう)」があります。これも「御来迎」と同じ意味を持ちますが、現在は山頂で朝日を拝むことに使われることが多いようです。これは神聖なものとされていた御来迎が、いつからか山頂で朝日を拝むことにおきかえられたものです。
同じブロッケン現象を見ても、日本人とヨーロッパの人では、とらえ方に大きな違いがあったのですね。
お天気豆知識(2026年07月28日(火))


ブロッケン現象は、どういったしくみで現れるのでしょうか。
高い山に登ると、雲や霧が自分の横または下に見えることがあります。このとき日差しがあると、その雲や霧がスクリーンになって自分の影を映すことがあります。この自分の影こそが、妖怪(ようかい)や阿弥陀如来(あみだにょらい)に例えられているものです。
また、光の輪は太陽の光が雲や霧などの水滴によって、曲げられたり七色に分けられたりするために生じ、自分の影の頭の部分(影の目の位置)を中心にして現れます。
このようなしくみでブロッケン現象は起きるので、太陽を背にして雲や霧に映る影を探せば、この不思議な現象に出会えるかもしれません。
また、高い山だけではなく平地でもブロッケン現象が見られる場所があります。有名なのは、福島県只見町(ただみまち)の只見川です。7月から8月にかけてのよく晴れた早朝、上流のダムから流れてくる冷たい水によって川霧が発生すると、橋の上などから川面にブロッケン現象を見ることができるといいます。
夏休みに山など霧や雲の多い所にでかけられる時には、条件があえば、ブロッケン現象をみることができるかもしれませんね。

