梅雨の時期の天気図を見ると、日本付近に東西に延びた前線が特徴的です。この前線は梅雨前線とよばれるもので、一般にその北側300キロ以内で雨が降っていることが多いといわれています。
梅雨前線は、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧から吹く風によって作られます。オホーツク海に発生するオホーツク海高気圧は、梅雨前線に向かって冷たく湿った北東の風を吹き出します。
一方、日本の南東海上に張り出している太平洋高気圧からは暖かく湿った南風が吹きだしていて、温度差の大きい南北の風がぶつかったところに梅雨前線ができ、雲が発生します。そして、この2つの高気圧の勢力がほぼ釣り合っているため、日本付近に長期間梅雨前線がとどまるのです。
また梅雨は日本だけのものではなく、中国の長江(揚子江)流域でも6月上旬ごろ、朝鮮半島南部では6月下旬ごろから日本の梅雨と同じ前線によって雨季を迎えます。
お天気豆知識(2026年06月04日(木))


梅雨はオホーツク海高気圧と太平洋高気圧とのせめぎ合いによって発生しますが、これにはより大規模な風や地形が影響しています。
日本などの中緯度地帯の上空には、偏西風とよばれる西風が吹いていて南北に波打ちながら地球を巡っています。中でも高さ12キロ付近には、季節によって風速100メートルを超えることもあるジェット気流という強い西風の吹くところがあります。
一方、日本の西、中国南西部には世界で最も高い高原であるチベット高原があり、その北側は標高5000メートルを超える山を含むコンロン山脈、南側は8000メートル級の山々が属するヒマラヤ山脈に囲まれています。
ジェット気流は季節の移り変わりとともに北上して、梅雨のころにはチベット高原にぶつかる位置に達します。そうなると、ジェット気流は高い山々の影響を受けて南北二つの気流に分かれ、日本の東の海上で再び合流し一本の流れに戻るというそれまでとは違った振る舞い方をするのです。
この分かれたジェット気流が合流するところでは、上空に空気が集まって下降気流が生まれるため、オホーツク海で高気圧が発達します。
また、チベット高原で分かれた南側のジェット気流は、この時期インドや東南アジアに雨季をもたらす暖かくて水分をたくさん含んだ空気を日本に連れてきます。これと太平洋高気圧からの南風によって梅雨前線は水分補給を受け、長い間雨を降らせるのです。
もしヒマラヤ山脈やチベット高原がなかったなら、日本の梅雨もなかったかもしれませんね。

