昆虫は気温の影響を受けて体温を変える変温動物です。そのため、冬になり気温が下がると体温も下がり、10度以下になると多くの虫は活動を停止します。
気温の低い冬の間、虫はさまざまな所でじっと冬越しして、暖かくなる春の季節を待っているのです。冬越しの方法はさまざまで、カブトムシやクワガタムシなどは幼虫の姿で冬を越します。冬の森の中で落ち葉の下や朽ちた木の下を探してみると、これらの幼虫を見つけることができます。
これは落ち葉が毛布の役割をしてくれるため温度変化が少なく、春になって急激に気温が高くなったとしても体力を消耗することがないからです。
また、カマキリやトノサマバッタなどは卵として冬を越し、アゲハチョウやモンシロチョウはさなぎで冬を越します。卵やさなぎの場合は幼虫で冬を越すよりも寒さや乾燥に強く、むき出しになった木の枝や土の中で見つけることができます。
そして、成虫のままで冬を越すものにはカメムシやテントウムシなどがあり、テントウムシは岩場のすき間などに集団を作って冬越しします。このようにして虫たちは寒い冬を越し、春が訪れるのを待っているのです。
お天気豆知識(2025年12月20日(土))


虫たちは寒さや乾燥を避けるようにいろいろな所で冬を越しますが、その中でも多くの種類が土の中を選びます。
土の中は深くなるにつれて温度の変化が小さくなる特徴があり、これは、土の性質として熱の伝わり方が遅いということが関係しています。地上の気温が急に低くなったり高くなったりしても土の中に熱が伝わるまでにはしばらく時間がかかります。そのため、深ければ深いほど、地上の気温変化の影響を受けにくくなるのです。
極端な温度変化を嫌う虫たちにとって、このような変化の少ない土の中は冬越しをするのに最適な環境なのです。これは昆虫に限らず、ヘビやトカゲなどの爬虫類など、冬眠する生き物にとっても同じで、土の奥深くは居心地の良い空間です。
ちなみに、深さ10センチほどの土の中でも朝と昼の温度変化は1度くらいで、深さ30センチにもなると、一日の変化はほとんどありません。土の中で冬を越す生き物たちは、春になってじわじわと地上の暖かさが伝わるころに、ゆっくりと目覚めることができるのです。

