桜の花のもと、すっきりと青空が広がれば気持ちがよいものですが、春は天気が変わりやすく曇りの日もでてきます。桜が咲く頃の曇り空は「花曇り(はなぐもり)」と呼ばれています。
これは低気圧や前線が近づいてきた時のどんよりとした曇り空をさし、まれに黄砂でかすんだ空のことをいう時もあります。
日本で花といえば平安時代以降からはずっと「桜」です。曇りでも、桜の咲く頃の曇りは特別だったのでしょう。「花曇り」は江戸時代から用いられており、主に春の季節現象を美しく言い取った季語として使い続けられています。
同様に、桜の咲く時期の強い風雨を「花散らし(はなちらし)」などとも言います。こうした言葉から、いかに桜が日本人の文化に浸透しているかが、うかがえます。
お天気豆知識(2026年03月26日(木))


「花曇り」のほかにも春の曇りを表現する言葉があります。そのひとつに「鳥曇り(とりぐもり)」があります。
秋から冬にかけて日本に渡ってきた鳥が春になって北方へ帰る頃の曇り空という意味です。
また、「にしん曇り」というのもあり、これは北海道の日本海側でにしんの漁期に入る3月から5月にかけての曇天を指します。
どちらも春の鳥や魚の行動にちなんだもので、単に曇りというよりも、こちらの方が趣を感じますね。
曇りの日はすっきりせずに比較的憂鬱な気分に浸りがちですが、このように色々な表現があるというのは、日本人が昔から季節の移ろいを繊細に感じ取り、自然の営みを慈しんできた証といえるのかもしれません。

