11月は文化の日や文化財保護週間などがあり、一年の中で芸術に触れる機会の多い時期ではないでしょうか。
美術品は私たちの心を豊かにしてくれるものであり未来にも残すべき重要なものといえるでしょう。そのため、美術館では最適な環境で美術品を保存することを心がけています。
美術品は自然の木材や顔料、紙などを使っているため、時間が経つにつれて劣化します。美術品は、主に熱、水分、光、汚染空気、生物などの要因によって劣化するため、室内の温度、湿度を適切に保ち、照明を整え、空気清浄フィルターを設置したり、害虫駆除のための処理をしています。このような努力によって、私たちは過去の偉大な芸術家が制作した作品を鑑賞することができるのです。
今度、美術館に出かけるときにはこれまでとは違った見方ができるかもしれませんね。
お天気豆知識(2025年11月02日(日))


美術品の劣化を防ぐためには、展示、保存する美術館の室内環境を整えることが重要です。
例えば、気温が20度の場合と30度の場合を比較すると、気温が10度高くなると劣化の速度は2倍となります。このことから、美術品の保存には気温が低いほうがよいことになりますが、0度まで下がると美術品に含まれる水分が凍ってしまうためあまり低くてもいけません。鑑賞する環境も考えて、室内の温度は20度前後に設定されています。
湿度は、高すぎると植物顔料が褐色化するなどの影響があり、50パーセント程度に調整されています。特に、気温と湿度の急激な変化が最も美術品に悪影響を与えるため、定められた気温と湿度の値を一定に保つことが重要なのです。
また、美術品の展示に欠かせない照明も、品質の低下を防ぐための制限があります。光に含まれる紫外線は美術品の劣化を促進するため、紫外線を含まない光を利用したり、紫外線をカットするガラスで覆うことが必要です。そして、気温を一定に保つために熱を出さない照明であることも重要です。
このように、美術館では美術品を長く保存するために、室内環境に気を配っているのです。

